この記事は
私がシンガポールに6年住んで感じた、シンガポールでの教育事情、特に言語教育について書いていきます。
シンガポールの言語
シンガポールの国で定められた公用語は4つ。英語、中国語(マンダリン)、マレー語、タミル語です。
電車のアナウンスも英語、中国語、マレー語、タミル語の順で流れます
街中ではどうかというと、人口の七割以上を中華系が占めるため中国語がよく使われている印象です。
アジア系の顔をしていると、まず中国語で聞かれて、通じなければ英語で聞かれる、という具合です
シンガポールでは子供はどんな教育をうけているか
シンガポール公立校では、学校教育は基本英語で学びます。
それぞれの民族のアイデンティティを尊重するために、
生徒はそれぞれの母語(華人系は中国語、マレー系はマレー語、インド系はタミル語)も学びます。
ほとんどの現地の生徒は公立校に通います。私立校というのもありますが、みんな基本的に公立校です。
公立校の中でも人気の学校にいれるために両親は入学前からボランティア活動をしたり、
入学のための活動を熱心に行うそうです。
人気の学校とはどういう学校かというと、
PSLE(Primary School Leaving Exam)の成績が良い学校です。
PSLEとは、Primary School Leaving Examの略で小学校6年生の卒業時に必ず受けるテスト。
このテストを合格しないと、小学校6年生をもう一度やり直すことになります、いわゆる留年ですね。
そして、PSLEの結果で入学可能な中学校とコースが決まります。
簡単に言うと大学コース・専門学校コースに分かれます。
専門学校コースでも成績優秀者は途中で大学コースに編入できるらしいですが、難しいそうです。
小学校2年生から習熟度別のクラスに編成されるなど、
小学生の時から大学入学までの受験戦争が始まっています。
遅咲きにはつらい教育制度…
というわけで、シンガポールでは幼児教育がとても盛んです。
4、5歳から英語や中国語の読み書きの習いごとさせる人が多いです。
日本の公文や七田式も人気で、教室がたくさんあります。
シンガポール人の親は語学教育についてどう考えているか
シンガポール人は幼児に二か国語を教えることに全然抵抗がありません。
むしろ小学校から必ず勉強しないといけないから、早く早く教え始めたほうがいいよ、教えようという姿勢です。
人によっては、英語・母国語だけでなく、日本語やスペイン語など全然違う言語にも触れさせていて、
「小さいうちにいろんな言語にふれればふれるほどいい」と言っている家庭もありました。
私が思ったこと、実践したこと
私も一人目を出産するまでは、娘に英語を教えようと思っていませんでした。
私が自力で英語を身につけたように、彼女も自分で身につければいいかな。
もし英語を学びたいのであればサポートしよう。と思っていました。
私の中で0歳1歳に外国語を教えることに対して、無意識のうちに抵抗があったのでしょう。
「外国語は母国語の基礎ができてから。」日本では幾度となくこの言葉を聞きますよね。
ですが、
- シンガポールの二言語政策
- シンガポール人の家庭で親が積極的に外国語を子供に教える姿
- 実際に未就学児が二か国語を読み書きしている姿
これらを見て、私も自信がわきました。
できるんだ。子供に外国語教えていいんじゃん。
外国語、英語を教えたいと思うようになりました。
そこで、私が実践したことは、
・語りかけ(同じことを日英両方で言うようにしていた)
・テレビは英語(ジブリだけ日本語)
・読み聞かせ(日本語:英語=7:3)
それに加えて、
・娘は現地の幼稚園(といっても日本人・外国人が多め)に行っていたので、
幼稚園で英語・中国語の読み書きしていました。
・年齢の関係と娘の興味がなかったためできなかったけど、
Oxford Reading TreeのRead with Biff, Chip and Kipperの本をシンガポール人の夫婦に進められて買いました。
結果、娘はシンガポールにいる日本人の中では英語がかなり流暢でした。
日本に帰国してからも語りかけ(というか会話)と
テレビ・動画を英語のままにしていたので(プリキュアとかは除き…)
帰国して2年ですが、そこそこ英語はキープできていると思っています。
まとめ
日本では色々と言われることのある外国語教育ですが、シンガポールでは普通です。
その理由は、人生が決まっちゃうと言われるテストが英語で行われ、その受験科目には母語もあるからでしょう。
シンガポールで見聞きした限り、二か国語を教わっているから子供の成長に不都合があったなんていう話は聞いたことがありません。(みんなが勉強してるんで、当たり前といえば当たり前…)
私もシンガポールの教育制度や子供たちの姿を見て、子供が外国語を学ぶことに抵抗がなくなりました。
日本では風当たりが強かったりするおうち英語や、おうち中国語を頑張っている人に
「子供に外国語教えていいと思うよー!」
と、全力で背中を押したいです。
あとがき
教育において、日本はシンガポールに劣っているのでしょうか。
私には何とも言えません。
ここだけの話、シンガポールの初等教育はちょっと狂気じみています。
私は現地校にいっている子供を持つ友人からたくさん話を聞きましたが、一昔前の日本のようです。
・先生がとにかく怖くて偉い
・詰め込み式の教育
・受験戦争
・小学2年生から習熟度別クラス
・むち打ち(2019年の記事)(今は一般的ではないけど、まだ行われていそう)
そんな学校教育の中で熾烈な受験戦争を勝ち抜き、好成績で高校を卒業した人たちが行く
シンガポール国立大学(NUS)の大学ランキングはアジアで3位、世界では25位(東大は36位)です。
レベルの高い外国語教育・学力世界一を達成するには、親も子供も学校も必死に頑張っているんですね。
ちなみに、シンガポールの街中では街で遊んでいる若者をあまり見かけません。
現地の友人に聞いたら学生は遊んでいる暇、テレビ・ゲームをする暇はないそうです。
シンガポールは人口も少なく、資源もほとんどない。
そんな中で外資に頼らざるをえなかったシンガポールが
人材の教育、特に英語教育に力を入れてきたのはある意味当たり前のことかもしれません。
対して日本はどうでしょうか。
日本の人口が減少して、市場の大きさだけでは外国企業を誘致できなくなったとき。
日本の人材は国際的に優秀で、日本の資源となることができるのでしょうか。